家電開発競争の象徴的な存在の1つが、エアコンです。毎シーズン、各メーカーがしのぎを削って快適性を向上させています。
こうした開発競争には、実は業界内でトレンドがあります。フィルターの自動掃除、イオン発生機能、熱交換器のフィンの自動清掃などは、記憶に新しいかと思います。2019年冬~2020年春にかけてのトレンドは、各種センサーによるセンシングとAI(人工知能)を組み合わせた快適運転です。
そこで今回は、各種センサーとAIの役割や、最新のエアコン機能などについてご紹介します。
これからのエアコン業界を席巻していくと考えられているのが、センサーとAIの組み合わせです。それでは、各種センサーとAIがそれぞれどのような役割を担っているのか、組み合わさるとどのように機能が向上するのかを見ていきましょう。
最近のエアコンには人感センサーや間取りセンサー、人感センサーといった多くのセンサーが搭載されています。これらのセンサーにより、室内の温度分布や人の移動、人がいる場所などを細かく感知しています。さらに、室内にいる人それぞれが感じている「温冷感」をセンシングするものもあり、そのときに合った最適な運転を行なってくれます。
上記で挙げた各種センサーとAIの学習機能を組み合わせることにより、エアコン運転の快適性はさらに向上しています。
センサーから読み取った「温冷感」をAIが検知し、寒いと感じている人を優先的に温めるよう判断できます。最新のモデルでは、各種センサーの情報を蓄積して、部屋の断熱性能を学習する製品が登場しています。断熱性能の違いを学習することにより、温まりやすい部屋では起電力を抑えるといった運転が可能になります。また、室内状況により、普段人がいない空間には送風しないように調整するなど、無駄をなくした効率的な運転を自動で行なってくれます。
このように、各種センサーとAIが組み合わさることで、最新のエアコンの運転性能は飛躍的に向上しています。
ではここで、三菱電機が手がける「霧ヶ峰 FZシリーズ」のセンサーやAIの性能について見てみましょう。
2020年度モデルの「霧ヶ峰 FZシリーズ」には、人工衛星「だいち2号」にも搭載された「サーマルダイオード赤外線センサー」が備わっています。従来製品と比較すると、センサーの画素数が80倍、センサー感度は2.5倍に向上しており、空気の流れを高精度に検知できるようになりました。このセンサーとAIが融合した「ムーブアイmirA.I.+」により、温度分布や風の強さなどを推測する精度が高まり、体感温度により近い判定で、エアコン運転が可能となります。